アダルトチルドレンサバイバー備忘録

一般人の中に紛れ込む病み(闇)人。主にメンタルのことを好き勝手に徒然と書いています。自分の為に、家族の為に、ずっと自分自身のカウンセリングを続けています。

きょうだいのこと

私の兄は非行少年だった


尾崎豊の「15の夜」を地で行く
盗んだバイクで走りだす少年だった


兄からの仕打ちは
私にとっては、耐えがたく
いまだに許せないでいる

でも同時に、
兄の辛さが分からなくもない

兄は、当時住んでいた家を
大人になってから地獄だったと言っていた

私は地獄とまでは思っていない

寂しい思いはあったけど、
機能していた家庭の思い出もあり
父親に可愛がられた記憶もあるので
良いこと辛いことが混在していた家


15の夜の歌詞を読み
兄の気持ちを思い浮かべてみる


あの家に帰りたくない兄
アル中の父親がいる、重苦しい家庭
そんな父親に、へばりついている妹

唯一、自分に興味を向けてくれていた母親は
もう死んでおらず
兄の居場所はなかったんだろうと思う


兄の苦しみはどこで発散されていたのか
誰かに分かってもらえていたのだろうか

学校で、要注意人物だったことは
小学生の私の耳にも入ってきていた

そのような友達とばかり集まって
たまに家にいれば
タバコの煙の充満した部屋で
大音量で音楽をかけていた

何も言わない飲んだくれの父親
自分に厳しかった父親の荒廃した姿も
また見るのがつらかったと思う


誰にも頼れず、甘えられず
母親を失った悲しみも
どこにも出せなかったのかもしれない
それを「15の夜」のような形で出したのか


その後、親類の家に行くことになり
私はまだ保護される年齢であったけど
兄の選択肢は働くことしかなく

他人の家に居候という分際で
非行に走っていられる状況じゃなくなった


なぜ私に矛先が向いてきたのか

父親に可愛がられて憎らしい妹
余計なひとこと多くてむかつく妹
なのに親はいつも妹をかばっていた

ずるい、羨ましい、憎たらしい
生意気、邪魔者、
父親とベッタリで気持ち悪い
まだまだあるだろう

妹の私には八つ当たりしやすかったのかも


住み慣れない家
気を使う生活
働くことの大変さもあって
兄はいっぱいいっぱいだったのだろうと思う

私からは大人のように見えたけど
まだ16才の男の子
わがまま言って親にすねをかじりたい時期だったろうに

毎日ツナギを着て自動車工場まで
スクーターで仕事に行っていた

まあ、そのツナギを洗濯して
アイロンしてたのは私だけど(^_^;)


同じ家に住む年の近いいとこたちは
普通に高校に通っていた
兄はどんな気持ちで見ていたのだろう

私を高校に行かせてくれと
身内の前で土下座したのは

高校を卒業したいという自分の思いを
私に託して、なし得たかったのだと今になり思う


オレはどこの馬の骨ともわからない


という言葉で自分を卑下することが
何度かあった
あれも学歴のことを指していたのだろうと思う


兄が帰ってきた時の無表情の冷たさは
私にとっては恐怖でしかなかったけど

もしかしたら、
辛さを精一杯抑えて帰ってきた
表情だったのかもしれない

兄もまた、私のように
感情を封鎖して過ごしていたのかもしれない


そうでないにしろ、あるにしろ
兄なりに苦しんできたことは間違いない

でも、あの兄の冷たい表情の
奥に抱え込んでいた辛さを
私にぶつけて欲しくはなかった


兄は、死ぬ時まで
その苦しみの中で生きていたのだとしたら
とても辛くて悲しいことだと思う

怒りと悲しみの中で過ごし死んでいったこと
理解してあげたいけど

それは兄を許すことにもなり
そうしてなるものか、と抵抗もある


でも許したとしても
なかったことにすることはない

あれはあれでつらかった

兄がそうせざるを得なかったことも事実


どっちも、あるんだ
と、分けて行く方向に私はすすむことにする